現在残される左側部分と中央部分以外は切り捨てられた
なおサロン出品用『草上の昼食』は当初マネの手元にあったが、家賃代として当時住んでいた借家の大家に取られ、数年後、モネの元へ再び戻ってきた(取り戻した)時には画面の損傷が著しく、現在残される左側部分と中央部分以外は切り捨てられた。
この『草上の昼食』では、後(1869年)に『ラ・グルヌイエール』で完成・誕生することになる印象主義的描写の先駆的表現が示されており、画家の表現様式形成の過程においても非常に重要な作品として位置付けられている。本作(この習作)からは戸外で民衆(市民)らが昼食を楽しむ情景≪現代性≫がありありと伝わってくるだけでなく、モネが前世紀(18世紀)の作品からのロココ的な雅宴性や構図的借用も見出すことができる。