ただ女性の純粋な生命力と肉体的美しさを表現することに注力している

サクラちゃん

2017年09月11日 12:11

 かつて「瞑想」と呼称されつつあったが、画家本人が「あの少女は何も考えていない、鳥にように生きている、ただそれだけである。」と否定した逸話でも示されるよう、本作でルノワールは喜びや愛情に満ちている裸婦の姿を描くでもなく、悲しみや苦悩に暮れている裸婦の姿を描くのでもなく、ただ女性(裸婦)の純粋な(内包的な)生命力と肉体的美しさを表現することに注力している。

 また画家の晩年期の特徴が顕著に表れる、本作の裸婦の圧倒的な肉体的質感と量感の描写は、ルノワールが生涯描き続けた女性美の極致を示すものであり、観る者が内面に抱く女性像(裸婦像)の心象や印象に(時として反面的にすら)訴えかけてくる。なお晩年期に制作された裸婦作品として本作以外ではバーンズ・コレクションが所蔵する『浴後』などが知られている。