2017年12月30日
観る者の視線を自然と誘導させることに成功している

画面前景の草上には一見すると無造作的に配される登場人物であるが、その構成は後の構成主義的な堅牢性の萌芽を微かに感じさせ、観る者の視線を自然と誘導させることに成功している。
さらに本作では濃密な官能性を裸婦や男根を連想させる小島の樹木で、自然との調和性をやや不吉な印象すら感じさせる青々とした色彩で表現している。
これらは『田園の奏楽』以来、古典的な牧歌的風景画の典型であった本主題に対する若きセザンヌの挑戦的取り組みであり、1870年代の画家の思想や動向はもとより、特徴的な作風とその変化、様式的昇華を考察する上でも重要な作品として位置付けられている。
Posted by サクラちゃん at 11:12│Comments(0)
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